だから、笑わないで。
―第三章―重なる気持ち
カランカランカラーンっ
「当たりました!一等賞!!ファミリー券でーす!」
「………………え。」
「とゆーわけで!温泉いくぞ!リン、杏子!」
きのう憂とデパートで当てたファミリー券、温泉旅行のチケットをかざしながらレンは言った。
「…………」
「えっ、なにそれ、当てたの?」
レンの机に集まっていた四人はチケットをみる。
杏子は冷静にそれをとって、聞いていた。
リンは黙ったままだ。
「そー!きのうデパートで!ファミリー券だから、四人一組なんだよ。リンも杏子も行くだろ?」
ふふん、とはなをならしながら、得意そうにレンは言う。
杏子はリンをちらりとみて、様子を伺った。
リンは興味のないような目をしていた。
「……………」
「へーえ……」
「杏子っ、行くだろ?」
「うーん…」
苦笑しながら杏子は口ごもった。
レンはそれが納得できない様子だ。
「なんで?行かないのかよ?」
「うーん…リンくんがいくならいくけど?」
そういった瞬間、リンがたちあがる。
「…………俺は行かない」
「は?何でだよ?」
「…………普通に考えて邪魔じゃん。二人で行けば?」
冷めた目で言ったリン。
すると、後ろにいた憂がでできて言った。
「…なんで?あたしとレンくんは四人で行きたいんだよ?邪魔とか思ってないし、思わないでよ」