だから、笑わないで。



リンはレンと憂をみるのが限界にきていた。


幸せそうなふたりをみると、祝福しなくちゃいけないのに祝福ができない。
そんな自分がリンは嫌だった。
そして、もう我慢が出来なかった。
憂の無防備な姿が、レンを裏切りそうになる。



頭が痛くなるほど憂とレンのことを考えていると、



「リーンくんっ」




と、後ろから声が聞こえた。



「………よくわかったね?」
「当たり前だよお。どんだけリンくんと付き合ってると思ってんの」
「……まだ一年くらいじゃない?…杏子」



あははっ、そっか、と言って杏子はリンの横に腰を下ろした。


水の音と、小鳥のさえずりだけがきこえてくる。


「………ねえリンくん」
「………ん」
「………あたしは…リンくんがすきだよ…」
「……………」
「……あたしは…リンくんが誰よりも何よりも一番すきだからね…」
「………………」


杏子はそう言ってリンを抱きしめた。
リンは小さく震えていた。




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