だから、笑わないで。



あっという間に約束の土曜日になった。
四人は駅前で待ち合わせをした。
リンはこの日のためにバイトのシフトをかわってもらい、着々と準備をすすめていたがレンはいつも当日用意するタイプのため、バタバタする。
レンの準備を待つ、リンはイライラしながら座った。



「レン…もういいんじゃないの」
「まだ!準備ができてないんだよ…」
「このままだと確実に遅れるんだけど」
「憂にメールしておくよ!あれ、携帯どこやったっけー?」


そう言いながらレンは荷物のなかから携帯を探しはじめた。



「………もういい。俺が連絡しとくから
お前は自分の準備しろ」



久々にリンが怒った瞬間だった。
それを見たレンは、怯えながら急いで準備を進めた。



―――一方駅でレンとリンを待つ憂と杏子は携帯をみながら、時間を気にしていた。



「………もう約束の時間過ぎちゃったけど、どうしたんだろ?」
「…………寝坊したんじゃない?乗ろうと思ってた電車、間に合わないね」
「うん……………」



すると、憂の携帯が鳴り響く。



「あっ、電話…リンくんからだ!」
「!」
「もしもし、リンくん?大丈夫?」
「………………」
「………あー…レンくんらしいね(笑)…ん?………うん…」


憂は笑いながら、話し込む。
そして、不意に杏子のほうを向いた。


「杏子!」
「…………え?」
「あのね、まだ時間かかりそうだから先にいっててもいいって!どーしよ?」
「………うーん……憂はどっちがいいの?」
「うーん…そうだなあ…まってよっか?」
「いいよ!」



憂と杏子は話し合ってそれを決めると、憂は電話のリンに向かって決めたことを話し、電話を切った。



「あはは、リンくん、申し訳ないって言いながらレンくんにめっちゃ怒ってた」



携帯をバッグにしまいながら笑って憂が言う。





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