だから、笑わないで。
「そう言うと思ったから出たんだよ~はやくいこ!」
「うーん…」
すると、リンは杏子の荷物をスッと持った。
「………ごめん、気付かなくて。レンも憂の持ってやれよ」
「え、やだ!いいよ、リンくん!」
「あっ、うん!」
「え?あっ、いいの、レンくん?ごめんね?」
「当たり前だし~」
切符をかって電車に乗り込む。
電車が走り出して10分もするとリン以外の三人は眠ってしまった。
レンにいたってはねぼうするまで寝たくせに。
「…………………」
リンはレンの肩にもたれかかって眠っている憂を見つめた。
長いまつげ。透き通った肌。赤い唇にほんのりピンクの頬。
ピンクミルクティー色の髪。
「…………綺麗……」
思わずそう呟いてしまうほどに。
憂は綺麗、だった。
「……………」
ガタタンゴトトン…
ゆらゆら揺られながらリンは罪悪感にかられ、憂から目をそらした。
それからどのくらい眠ったのだろうか。
リンはふと目が覚めた。
三人は相変わらず寝ている。
乗り換えはないのだろうか?
ポケットから切符をとりだし、行き先を確認した。
乗り換えはないようだ。
……それにしても…ここ、どこだ?
同時にアナウンスが流れ出す。
『次は~○○~○○です。お降りの方はお忘れ物のございませんよう~…………』
○○…か…
ん?○○?
「起きて。レン憂杏子」
「………ん~」
「うー…」
「なんだあ~?」
「いそいで。早くしないと…」
『○○~○○です』
「ここ○○だから!」
「え?」
『とびら閉まりまーす』
「ああぁっ…まって…」
レンのおたけびのおかげで無事○○でおりることができた。
三人は半分寝ぼけているのでリンが先頭に、旅館まで歩いた。
「………ん。あれかな……」
10分くらいあるいたところで小さな旅館が見えてきた。
三人はねむさのピークなのだろう、足元がふらついている。