だから、笑わないで。
いつだって感情を表に出さずにやってきたリン。
正確にいえば、出さずに、ではなく出せずになのだが。
広い広い温泉にひとりつかりながら、リンはこれからのことを考えていた。
レンや憂のこと…
レンも憂も大好きだ。
これは比べられないし、変わらない。
憂はレンが好きで、レンは憂が好きで。
それでもリンは憂が好きで。
それでも杏子はリンが好きだった。
複雑に絡まった糸はいつほどけるのだろうか。
杏子に優しくするのは残酷なのかもしれない。
そうリンは考え始めていた。
自分も憂に優しくされるのはつらいからだ。
リンの想いは日に日に膨らんでいくばかりで、とどまることをしらない。
あと一滴であふれてしまうところまできていた。
もしかして、憂を一番愛しているのはリンなのかもしれない。