だから、笑わないで。
きっとどっちもつらいけど同じ気持ちだよね。
わたしもつらい。
けど、リンくんもつらい。
この気持ちを知るのはわたしだけ。
そう思ってもいいよね…?
「リン!」
「!」
「こんなところに居たのか」
「レンくん……」
「早く教室に戻れ。授業が始まるぞ。それからおわったら、憂に謝ること。あいつ泣いてんだぞ」
レンくんは怒りながら言った。
「俺、リンのことは好きだけどさ。お前がなんかあったのかもしんないけど。それで憂に距離おこうって言うのは、間違いだと思うんだ。リンの勝手だろ。それで憂を傷付けんのは許さない」
「……………」
「れ、レンくん。なにもそこまで…」
普通からみて、レンくんの言うことは正しい。
だけどリンくんの気持ちも事情もしっているわたしとしては、レンくんの言い分は勝手だ。
「リンくんだって色々あるし、悩んでるんだよ。そこまで言わなくてもいいんじゃないの?」
「でも杏子、いまのリンは憂を泣かせて…」
「だからそれは…」
「レン」
わたしとレンくんが言い合っていると、リンくんがレンくんを真っ直ぐ見ていた。
「…俺は…ガキじゃないから怒りに任せてものを言うとかそういうことはしない。でも…」
そこでリンくんは一旦言うのをやめた。
そして息を吸い、一気にいった。
「でも、考えろ。どうしてお前と憂だけが気付かないのか。俺はお前たちをせめるつもりなんかない。けど…このままじゃいつまでたってもこんなままだから」
「………なにいってんだよ…」
「………いこ、杏子」
「………え…あ……」
いい終えるとリンくんはわたしの手をとり、教室の方向へ向かう。