だから、笑わないで。




うしろでレンくんがなにかいっていたけど、無視して歩いた。



「……リンくん…!…いいの?あんなこと言っちゃって…!」
「……………………」



リンくんは教室の前につくとわたしの手を離した。



「……リンくん……?」
「…………杏子は授業うけな……俺はもう帰るから」



リンくんは教室からカバンを持ってくると肩にかけた。



「……じゃーね」


リンくんはそう言って帰っていった。
あたしはそれを見送ると、教室の中へ入った。
まだ一限目がはじまっていない教室はすこしざわついている。

しばらく見渡すと、つくえに突っ伏して泣いている憂をみつけた。




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