だから、笑わないで。
レンが囲まれれば、憂は悲しむ。
レンが遠い存在になったような気がするからだ。
俺から見てもそう。
レンはどこかのアイドルみたいに輝いてみえた。
男の俺でさえそう感じるのに、憂は大丈夫だろうか。
俺は憂のそばへ移動した。
昔、憂がいっていたことを思い出す。
《レンくんは、優しいから女の子を突き放したりしないし、できない》
《だけど、レンくんは女の子にはレンじゃなくてカレンって呼ばせてて、自分から女の子には触らない》
《そこまで考えてくれてるのに、もうワガママは言えないよね―…》
それをいったあと、憂は哀しそうに微笑んだんだ。
助けたいと思ったけど、何も出来なかった。
俺は、無力だから。