だから、笑わないで。
―第六章―リンside
レンと憂の記念すべき、三年記念日の今日。
俺は憂とレンを避けて、早めに家を出た。
学校につくと、当然誰もおらず、屋上でぼーっとしていると杏子がきた。
「……………杏子」
「リンくんおはよ!わたしの登場もおきまりだね!やっぱはやくきてたんだ」
杏子は俺の心を読み取ったように言う。
「……………杏子すご」
「わたしリンくんのエスパーだから♪」
杏子はフフン、と笑いながら得意そうに言った。
俺はもう一度寝転がり空を見上げた。
「綺麗だねぇー」
「…………何もかも忘れちゃいそうだね」
「……………うん…………」
それからずっと、杏子はそばにいてくれた。
毎時間、ここにくるときまって杏子があとからやってきて無言で空を見上げる。
杏子は何も言わなくても気持ちをわかってくれる、そんな存在だった。
俺のことを一番わかってくれてたのは昔は憂とレンだった。
だけど憂には恋心を抱くようになり、一番の理解者はレンになった。
でも、いまの一番の理解者は杏子だ。
時とは、不思議なものだ。