だから、笑わないで。



今日は何度かレンをかわしてきた俺だったけど、最後の最後で捕まってしまった。



「リン!」


ちょっと怒った声とともに腕をつかまれる。


「………なんだよ…」


はあっとため息をつきながら振り向く。
はやく帰りたいのに。
憂とレンの邪魔したくないし。


レンははなしあいたい、と言ってきた。
家で聞く、と適当にあしらったあと、杏子とともに教室をでた。



俺たちは飲み物を買い、杏子を送るために電車に乗った。
駅を降り、近くの公園に入る。



「…………」
「…………」
「………もうすぐ春だねえ」
「…………そうだね」



憂とであって14年。
俺はなにか変わっただろうか?
なにか成長できたのだろうか。


なにも成長できていない。



こんな気持ち、あってはならないのに―…





< 61 / 194 >

この作品をシェア

pagetop