だから、笑わないで。
「リンくん」
突然、杏子が呼んだ。
「一途におもう強さって誰にでもあるわけじゃないよ」
「……え…」
「だってそうでしょ?小さいころから好きな人が同じなんて滅多にいないもん。すごいことでしょ?せめることじゃない」
本当に杏子は俺のエスパーなのだろう。
俺が欲しかった言葉を、必ずくれる。
「ね?」
杏子を好きになりたかった。
でも、むりだった。
それほど、憂を愛してる。
俺は杏子に向き直った。
「………杏子…俺………」
と言葉を発すると同時に、泣き声が聞こえる。
「………っく……」
「杏子?」
「わたしじゃない」
「…………?」
おれたちは泣き声のするほうへいってみた。
そこにはレンと憂が抱き合っている。
俺の胸が嫌な音をたてて動く。
「………っ……リンくん…っ!」
杏子が心配そうに腕を引っ張る。
が、俺の足は地面に張り付いたまま動こうとしてくれない。