だから、笑わないで。
「……なっ……んでこんなとこで…!」
杏子は泣きそうになりながら、思い切り俺を引っ張ってもとのベンチに座らせた。
俺の頭のなかでさっきの言葉がリピートして、重苦しのし掛かる。
……俺はなんのために生まれてきたんだ…
こんな、辛い思いをするために…
生まれたのか…
無感情な目から、涙が一滴、スーッと流れ落ちた。
「………リンくん……!!」
杏子は俺を抱きしめた。
先にもあとにも、俺が流した涙は一滴だけだった。