だから、笑わないで。
―第七章―悲劇の始まり
リンはあの日から憂とレンを完璧に避けるようになった。
家にも帰っていない。
友達の家を転々としている。
「………リン…どうして…」
レンは避けられるようになって、自信が持てずに強気に出れないみたいだった。
リンは心が痛みながらも幸せそうに輝くペアリングをみることができなかった。
気持ちはバラバラになっていた。
「…………杏子!」
「………?………レンくん?なに?」
「ちょっときて!」
「レンくん?!」
戸惑う杏子の腕をレンは無理矢理引っ張って屋上へ連れていった。
「どうしたの?レンくん?」
「教えてくれ!どうしてリンが俺たちを避けるのか…それにリンのいった言葉の意味!」
「………言葉…?」
「このまえのやつだよ!」
「……?………!…ああ…」
杏子は思い出したように言った。
「それは自分で考えろって言われたでしょ」
「そうだけど…!…でもわかんないんだ…!…俺も憂も!」
弱気なレンにカッとなった杏子は、
「だから何!?リンくんだって一人で悩んでわかんなくて、それでも一人で答えを出してきたのよ。レンくんの何倍もつらかったはずだよ!いいよ、教えてあげる!リンくんは憂とレンくんが嫌いだから避けてる訳じゃない!あなたたちが大切すぎるから、いつだって迷ってきたの!!」
一気に怒鳴って言ってしまった。