だから、笑わないで。




「俺たちが…大切すぎるから…?」
「そうだよ。レンくんだっていま、嫌われたくないから、リンくんに強気で言えないんでしょ。そうゆうものだよ」
「……リンは……一体…何に傷付いてるっていうんだ…」



レンは顔を手で覆って泣き出した。
杏子はそっと肩を並べながらささやいた。



「…怒鳴っちゃってゴメンね…でも、リンくんのほうが何倍もつらいの…おねがい、それはわかって」



杏子もまた、涙を流した。
ポケットからハンカチをとりだし、レンの涙を拭う。


「……リンくんにはわたしから言っておくね…レンくんもさ、憂は憂、レンくんはレンくんで考えた方がいいと思うから距離おいたら?」
「………………………」



レンは頷くことも、首をふることもしなかった。
杏子は黙って屋上をでていく。
レンは屋上でしばらく考えていた。






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