だから、笑わないで。
―第八章―レンside
すべてのことに気付いた。
―どうしてお前と憂だけが気付かないのか―
それは…
しあわせだったから。
お互い以外をみていなかったから…
俺は憂しかみえてなかった。
どんなにリンを大切に思っていても、俺はなにもしてやれなかった。
「………ははっ……」
俺は。
なにしてたんだろう……
リンは、どれだけ苦しかったんだろう。
どれだけ悩んだんだろう。
どれだけ……想ってきたのだろう……
それを支えた杏子は…
好きなひとがじぶん以外のひとを想って泣いて、どれだけつらかっただろう…
俺たち二人だけが気付かなかったのか。