だから、笑わないで。



リンはやっぱり不安だった。
だから走って家に帰って急いで母親に聞く。



「母さん!レンは?!」
「カレン?さっきサトシくん家いくってででいったわよ。どうしたの、カリンそんな慌てて」
「憂は?」
「憂ちゃん?いなかったわよ」



それを聞くとリンはまた走り出した。
サトシの家は近所にある。
インターホンを鳴らし、サトシがでで来るのを待った。
しばらくするとサトシがてでくる。



「サトシ、レンいる?」
「あ…ああ…レンならいまきたけど、ソッコーで寝ちゃったんだよ…」
「憂はいる?」
「……憂ちゃんはいねーよ…」
「ありがと」



やっぱり憂はレンと一緒にいない。
ならば憂はどこへいってしまったのだろう。
リンはなぜか無性に心配になって、憂の家にもいってみた。



「あら、カリンくん!久しぶりね!」
「……お久しぶりです…あの、憂いますか?」


中から出てきた憂の母親は笑った顔が憂にそっくりだった。



「憂?風邪ひいて部屋にいるの。だいぶひどいみたいでご飯も食べられないのよ…」
「風邪ですか?」



予想外の言葉にリンは驚いた。
憂は風邪の場合、きちんと学校に連絡をいれていたからだった。



「みたいだわ。わたしが帰ったら部屋でうずくまってたの。からだも熱かったし、間違いないと思うわ。でもお医者様には行きたくないって言うんで仕方なく買ってきたクスリを飲ませてるんだけど…」
「……………………」




リンは黙って考え込む。
おかしい。
ご飯も食べずに連絡も返さない。
風邪もあるかもしれないが、よほどショックなことがあったんだろうとリンは考えた。





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