そして優しい~番外編~
「ねぇ、涼」
そう俺を呼ぶ美雪の表情は、さっきまでの不思議そうなものから変わり、何故か子供を見守るような柔らかい微笑みだった。
「なんだよ」
ちょっとだけその表情にドキッとしながらも、やっぱりモヤモヤした感情は消えずに素っ気なく言った。
「涼ってコロンとか香水とか嫌いで、何も付けてないじゃない」
「だからって、何も俺の匂いがしない訳じゃないだろ」
なんだか『そんな事しても匂いなんかつかない』って言われている気がして、つい意地になって更にきつく美雪のブレザーを抱き締めた。
すると、そんな俺に美雪が言った。