君が恋に落ちるまで。
声を押し殺して泣けば、
”我慢しないで”って
口元に添えた手を掴まれて
それでも下唇を噛んで
漏れる声を抑えて泣いていた。
──────────────キキッ
「 ・・・噛んじゃだめだよ 」
赤信号で止まった車、
両手で頬を包まれて
指先で涙を拭われて、
「 早く、俺に堕ちればいいのに 」
その言葉の意味も分からずに
ただ泣き続けていた。
噛んでいた唇からは血が滲んで、
”だめだよ”と悠也さんが
優しくキスを落とした。