君が恋に落ちるまで。
「 今日は随分と早いんだな? 」
あれから、瑞穂ちゃんを家まで
送って行って、マンションの
駐車場に車を停めて・・・
行き着けのバーまで歩いた。
距離はそんなにない。
頭を冷やすには足らないくらいだ。
「 あぁ、うん・・・ 」
「 なんだよ?浮かない顔して 」
俺はそんな顔をしているのか、と
首を傾げていつもの席に座る。
”いつもの”と口を開いて出たのは
溜息だった。
「 ・・・仕方ねーな 」
「 ・・・なに? 」
「 今日は貸切にしてやる 」
そう言ってバーのドアを開け
出て行った奏多は楽しそうに
口元を緩めながら鍵を閉めた。