君が恋に落ちるまで。




「 ・・・無意識のうちに彼女の腕を
  引っ張って、バカなことしてたよ 」


「 へぇ・・・バカなこと? 」




一目で彼女だと分かった。
服装なんか気にしてなくて、
ただ、彼女が今にも泣きそうで
それだけで相手が慧くんだということは
すぐに分かってしまった。




「 なに・・・やってんだろうな・・・ 」


「 相手は10代なのにな? 」


「 本当に・・・何を・・・・ 」




10代だというのは、知らなかった。
年齢を聞いたときに少し驚いたのは
正直、彼女とこのバーで会ったときから
”10代なんじゃないか”と思っていたからだ。




見た目は確かに大人っぽいし、
グラスを傾ける姿は大人の女性だ。




ころころ変わる表情や口調、
可愛い寝顔はまるで子どものようで、
とても20歳には見えなかった。




「 ・・・思ったより、早かったな 」


「 ・・・なにが? 」


「 お前の答えが出るのが、だよ 」






< 109 / 245 >

この作品をシェア

pagetop