君が恋に落ちるまで。
「 それじゃあ、またね 」
「 下まで行きましょうか? 」
酔ってないとはいえ、
悠也さんはお酒を飲んでいる。
少し心配になってそう聞くと
悠也さんは小さく笑って、
あたしの手を掴んで引き寄せた。
「 ・・・優しいね、瑞穂ちゃんは 」
チュッ、と触れるだけのキスをして
至近距離で視線を絡み合わせる。
「 もう遅いし、ちゃんと寝てね 」
”こんな時間に押しかけておいて
言うことじゃないけど”と
可笑しそうに笑って、手を離し
あたしの頭を一撫でした。
「 おやすみ 」
その手が前髪をかき分けて
今度は額にキスを落とされた。
「 ・・・おやすみ、なさい・・・ 」
優しい表情、言葉。
来たときは冷たかった手が
今は温かくなっていた。