君が恋に落ちるまで。




「 ん・・・・ッ 」




甘い甘い、キス。
あの時飲んだお酒の味がする。




「 ゆ、や・・・さッ・・・ 」




気のせい、だろうか。
あの悠也さんが
泣いているように見える。




「 俺、お酒臭いでしょ? 」




再度苦笑して、チュッ、と
触れるだけのキスを交わして
見た悠也さんの顔は、いつも通りだった。




「 スプモーニ・・・飲みました? 」


「 あぁ、奏多が出してきてね。
  よく分かったね? 」


「 だって、いつもより甘かったから 」




”悠也さんのキスが”。




言い終えて、自分がどれだけ
恥ずかしいことを言ったのか
気付いて、咄嗟に口元を手で覆った。





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