君が恋に落ちるまで。
「 買い出しに行った帰りだからだよ。
別に連れ去ろうなんて思ってないし
安心してよ、瑞穂ちゃん 」
そう言ってシートを叩いて
乗るように託す彼を横目に
手招きして加奈を呼んだ。
「 ・・・誰? 」
「 知り合い・・・かな 」
「 ひでぇな~・・・友達でしょ? 」
何を言ってるんですか、と
奏多さんを睨むと
友達だろ、って笑われて
加奈は相変わらず不思議そうに
あたしと奏多さんを見ていた。
「 ・・・友達の、奏多さん 」
「 奏多さん・・・? 」
「 詳しいことはまた話すよ。
それから、今夜電話する 」
「 ・・・へぇ、珍しい 」
「 ケリつける前に話すよ 」
クイッ、と奏多さんがあたしの
手を引っ張って、あたしは
車に乗り込んだ。