君が恋に落ちるまで。




優しい笑顔ばかり
見ているせいか、
ふとしたときの悠也さんの
表情に、”男”を感じる。




月明かりに照らされた彼の
綺麗な髪と、表情。




寄せられた眉と伏せた目、
寒さからなのか濡れた瞳が
あたしを捕らえて、だけど
すぐに逸らされた。




本当に、捕まった気がした。




「 悠也さんは、大人ですね 」




その表情も、優しい言葉も、
あたしより何歩も前を歩く”大人”。




雰囲気も、触れ方も、




「 ・・・・そうかな? 」


「 そうですよ 」




いつだって大人を感じさせる
悠也さんにそう言えば、
ふっ、と小さく笑って
気付けばあたしのマンションの前だった。





< 179 / 245 >

この作品をシェア

pagetop