君が恋に落ちるまで。
優しい笑顔ばかり
見ているせいか、
ふとしたときの悠也さんの
表情に、”男”を感じる。
月明かりに照らされた彼の
綺麗な髪と、表情。
寄せられた眉と伏せた目、
寒さからなのか濡れた瞳が
あたしを捕らえて、だけど
すぐに逸らされた。
本当に、捕まった気がした。
「 悠也さんは、大人ですね 」
その表情も、優しい言葉も、
あたしより何歩も前を歩く”大人”。
雰囲気も、触れ方も、
「 ・・・・そうかな? 」
「 そうですよ 」
いつだって大人を感じさせる
悠也さんにそう言えば、
ふっ、と小さく笑って
気付けばあたしのマンションの前だった。