君が恋に落ちるまで。
『 ・・・場所だけ教えてくれるかな 』
「 ・・・M公園です 」
あたしの家から程近い小さな公園。
奏多さんは気のない返事をして、
あたしが電話を切る前に、
『 こんな時間だし、なるべく早く
話終わらせなきゃだめだよ?
・・・・・危ないから 』
「 ・・・はい、じゃあ・・・ 」
”頑張ってね”
電話を切って、携帯を再度
ポケットに入れる。
ついさっきまで震えていた体は
不思議と軽くなっていて、
緊張もすっかりなくなっていた。
奏多さんの、おかげかな。
あたしの緊張も不安も、
笑い飛ばしてくれたんだろうか。
マンションを出て、
冷たい風の中、あたしは一人
公園へと足を向けた。