君が恋に落ちるまで。




「 ずっとずっと、慧だけだった 」


「 ・・・・俺もだよ 」




不意に、慧が顔を上げて、
缶を握るあたしの手に触れた。




「 大人っぽいくせに、案外
  ドジで子どもで、なのに
  一回も俺を責めなかっただろ 」


「 ・・・・え? 」


「 どんなに俺が素っ気なくしても
  笑ってたし 」




喧嘩なんて、嫌だから。




「 彼女の前で俺のこと言えばいいのに
  怒りもしないで笑うし 」




・・・・その場に居るのが辛かったから。




「 ・・・・甘えねぇし、かといって
  冷めてるわけでもねぇし、
  途中からわかんなくなって、
  けど、俺もちゃんと好きだった 」




ボロボロと零れ落ちる涙を
起用に指先で掬いながら
慧は小さく咳払いをして、






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