君が恋に落ちるまで。
「 瑞穂!! 」
”さっきのは友達だ”
そんな嘘をつかれるんだろうか。
耳を塞いでいた手を掴まれて
慧を見上げた。
「 大丈夫か? 」
座り込んでいたあたしを
立たせて、慧が心配そうに
顔を覗き込んできた。
「 ・・・・け、い・・・ 」
「 瑞穂さん、大丈夫ですか? 」
隠れていたのか、彼女が
建物の隙間からひょっこり
顔を出して、あたしに
ハンカチを差し出した。
「 ・・・・え・・・ 」
「 怪我はないですか? 」
”よかったら使ってください”と、
優しく微笑んだ彼女は
慧の袖をきゅっ、と掴んだ。