君が恋に落ちるまで。
「 ・・・・・・ッうぅ 」
「 風邪ひいちゃうよ 」
温かい手がぎゅっ、と
あたしの手を掴んで、
グイッ、と引っ張られて。
「 大丈夫だよ。
ほら、帰ろう? 」
抱きしめてくれる大きな腕、
聞こえるのは、悠也さんの鼓動。
「 ・・・・走って、来たんですか? 」
バーからこの公園は結構近い。
だけどその距離をずっと
走り続けられるような距離じゃない。
肩で息をする悠也さんは
”参ったな”って笑いを零して
あたしを更に強く抱きしめた。
「 酔いを、醒ましたくて 」
あたしだけに聞こえるような
小さな声だった。