君が恋に落ちるまで。
同時に、俺を少し大人に
してくれたのも奏多だろう。
気長に待つつもりなんて
更々なかった。
「 ・・・正直、ね 」
「 ・・・? 」
本当に、格好悪いな、と
呆れてしまうほどに
大人気ない。
待つことを知らなかった俺に
待つことを教えてくれたのは
目の前の彼女だ。
「 気長、って言ったこと
少しだけ後悔してるよ 」
俺は君が思っているほど
きっと大人じゃない。
君より少し長く生きているだけの
ただの”年上”の男でしかない。
気持ちばかりが焦って、
だけどどうしてか、後悔ばかりではない。