君が恋に落ちるまで。
カウンターの端に座ると
茶髪の若いバーテンダーが
あたしの目の前に来て、
「 初めて? 」
そう言って首を傾げた。
薄暗い店内にはあたしと
もう二人ほどお客さんが居た。
癖でつい頬杖をついてしまいながらも
小さく頷いてみせると、彼はふっと笑った。
「 どんな気分? 」
「 スッキリしたい・・ 」
「 少し強めのものにしようか 」
バーテンダーはもっと堅いイメージが
あったけど、彼はそうじゃなく
自然とあたしのペースに
合わせてくれていた。
「 ・・・弱いの 」
「 え? 」
「 あたし、弱いから・・・ 」
正直、お酒は初めてだった。
最初から強いお酒を飲んだりしたら
・・・・・後が怖い。