君が恋に落ちるまで。
「 ・・・・隣、いい? 」
「 ん、・・・どうぞ? 」
暑くなって脱いだコートを
隣のイスにおいていたのを思い出して、
「 あ、すいません 」
急いでコートを自分の膝の上に置いた。
カウンター席は少なくない。
さっきまで居たお客さんは
もう帰っていたし、隣じゃなくても
席は空いていた。
「 ごめんね、コイツの特等席だから 」
「 特等席・・・? 」
「 そ、俺の親友で常連さん 」
”へぇ~”とあたしらしくもない
甘ったるい声を出しながら
チラリ、と隣に座った彼を見ると
ばっちり目が合った。