君が恋に落ちるまで。
「 藤咲さん、ちょっといい? 」
放課後、教室を出たあたしを
待っていたのは隣のクラスの
男の子だった。
入学して二ヶ月ちょっと。
あたしはこうして何度か
呼び出されることがあった。
「 ・・・・好き・・なんだけど 」
話したこともないのに
どうして好きだと言えるんだろう。
頬を染めた彼を見ながら
あたしは首を傾げた。
「 付き合ってくれない・・? 」
あたしより少し高い身長。
校則ギリギリの茶色い髪。
彼は優しいと同じクラスの
子に聞いたことがある。
「 ごめんなさい 」
「 ・・・そっか・・ 」
苦笑した彼が、柏木くんと
重なって見える。
”これが柏木くんだったら”
あたしは酷い女だった。