君が恋に落ちるまで。




”ごめんなさい”と




”ありがとう”。





記憶の中の慧が薄れていた。
あたしが何度”慧”と呼んでも
答えてくれるのは低い声。









『 ・・・ッ瑞穂 』






その瞬間、もう全てが吹き飛んで
何も見えなくて、聞こえなくて。








伸ばした手を掴んで、キスを落として、
苦しそうに顔を歪めていた彼にも
気付かずに、あたしは何度も何度も
”慧”を呼んでいた。








夢でいい。








夢でよかった。








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