君が恋に落ちるまで。
寝ている彼女を起こさないように
ベッドから降り、俺は部屋を出た。
どうしたら、どうすれば。
取り返しの付かないことだと
分かっていた。
”だめだ”とブレーキをかけた。
いや、かけたつもりだった。
「 ・・・・はぁ 」
ベランダに出て、煙草を咥える。
ひどく、息苦しい。
会えなくなるのなら、いっそ
ベッドに縫い付けてしまおうか。
そんな狂った考えに”バカじゃないのか”と
自分自身に溜息をつきながら
煙を吐き出し、ただぼんやり
見慣れた風景を眺めていた。