君が恋に落ちるまで。
「 またね、瑞穂ちゃん 」
外は雨が降っていた。
車で送ってもらった上、
上下ともに服は悠也さんの物で、
更にすぐそこが玄関なのに
”濡れるといけないから”と
悠也さんの傘まで借りた。
「 ・・・ありがとうございました 」
学生が持つようなビニール傘で
よかったのに、借りた傘は
比べ物にならないくらい丈夫で
立派な黒色の傘だった。
去っていく悠也さんの車を
見送りながら、
あたしはまだ、悠也さんの匂いに
包まれていた。
「 ・・・またね、か・・・ 」
本当のことを隠し通せる自信はない。
同級生や少し年上ならまだしも、
彼は本物の大人。
何度か会えばそれなりに気付くだろうし、
思ったより家は遠くなかった。
学校帰りなんかに、ばったり・・・
それこそ偶然会ってしまうかもしれない。