君が恋に落ちるまで。
ベッドの端に腰を下ろし、
シーツに触れて、
「 ・・・なんだ? 」
冷たい何かに、触れた。
いや、もうその時点で
それが何かは分かっていた。
「 ・・・時計 」
彼に貰ったものなんだろう。
大切そうにしていたから。
慣れないお酒を飲みながら
悲しそうな目で見ていた。
俺のようにグラスの中に
入れることはできない、と
苦笑していたが、
その理由が、”時計だから”
なのかは分からない。
シンプルな時計をテーブルの
上に置き、これが忘れ物なのか
少し悩んだ。
今すぐ届けに行くこともできる。
大切なものが失くなったと知ったら
彼女はきっと探すだろう。