君が恋に落ちるまで。
『 ・・・もしもし? 』
「 もしもし?瑞穂ちゃん? 」
メールでもよかったんじゃないか、と
少し困惑したような彼女の声に気付き
そう思ったがもう遅かった。
『 どうしたんですか? 』
「 時計、忘れてるよ 」
『 ・・・時計? 』
届けようか、と言いつつ
相変わらず時計は引き出しの中で。
『 ・・・今度、会ったときに・・・ 』
「 そう?じゃあ、また今度
連絡するね 」
『 はい、すいません 』
ホッとしている自分に呆れた。
”またね”と言って電話を切って、
零れる溜息とは裏腹に緩む頬を
押えながら、やっぱり”何をしているんだ”と
ベッドに深く身体を沈めた。