君が恋に落ちるまで。
「 無理じゃないんじゃねーの? 」
「 なんで? 」
奏多が言うに、俺には心がない。
いや、あるんだろうけど
どこか冷めている。
どう考えても無理だろう。
「 その冷めた部分にも入ってくる
”誰か”が居るんだろ 」
傷つけてしまうだけだろう、と
俺が苦笑すれば、空になった缶を
テーブルに置いた奏多が少し
ムッとして、
「 だから、お前と同じ部分が冷めた
”誰か”なら大丈夫だろって話 」
こんな、クサい話を男同士でして
楽しいわけもなく、
部屋は静まり返っていた。