君が恋に落ちるまで。
─────────────・・まずい。
「 ・・・じゃあ、ね 」
二人きりは、まずい。
ついさっきまで頭を支配していたのは
絶対に悠也さんだったのに、
慧を目の前にしてしまうと
どうしても頭が慧一色に染まる。
慧の横を通り過ぎて、彼女の背中を
追うように駅の方へ足を向けた。
「 ・・・瑞穂っ!! 」
目の前の道路を渡れば、駅。
駅なら人も多いだろうし
”彼女”が居るだろうから
きっと話すことなんてない。
掴まれた腕を引っ張られて
背中を向けていたはずなのに
あたしは慧と向き合っていた。