ヒコーキ雲に乗って
②
本格的にゼミの授業がスタートすると、それはもう目が回る様な日々が待ち受けていた。
毎週出される厄介なテーマの課題の為に、学校に足を運び図書館で資料を集める毎日に辟易しつつも、ゼミの教室に行く事を楽しめている自分がいた。
というのも、ひとりのお祭り大好き人間のおかげで、しょっちゅう飲み会が催され、3ヶ月も経たないうちに、38名のゼミ生全員がすっかり打ち解けてしまっていたからだ。
そのお祭り人間こそが、あの日私の目を釘付けにした男、橘陽介だった。
「香澄!」
図書館で、資料探しに励んでいると、聞き慣れた低い声で名前を呼ばれた。
振り返ると、グレーの半袖シャツにデニムといった相変わらずシンプルな服装の陽介が立っていた。
「陽介も資料集め?」
「おう。俺最近図書館通い、皆勤賞。」
そう言いながら、陽介は私の隣りに立ち、アジア経済に関する小難しい本ばかりが並んだ棚に目をやっている。
こうして隣りに並ぶと、改めて彼の背の高さを実感させられる。
170cm近くある私でさえ見上げるほどだ。
「陽介身長何cmあるん?」
思わず聞いてしまった。
「ん?何や急に。185やけど?」
(そりゃ見上げるわけだ。)
と、心の中で呟きながらもう一度その横顔を見つめる。
視線に気付いた陽介が、笑顔で私を見下ろす。
「何?どした?」
「ううん。別に。」
毎週出される厄介なテーマの課題の為に、学校に足を運び図書館で資料を集める毎日に辟易しつつも、ゼミの教室に行く事を楽しめている自分がいた。
というのも、ひとりのお祭り大好き人間のおかげで、しょっちゅう飲み会が催され、3ヶ月も経たないうちに、38名のゼミ生全員がすっかり打ち解けてしまっていたからだ。
そのお祭り人間こそが、あの日私の目を釘付けにした男、橘陽介だった。
「香澄!」
図書館で、資料探しに励んでいると、聞き慣れた低い声で名前を呼ばれた。
振り返ると、グレーの半袖シャツにデニムといった相変わらずシンプルな服装の陽介が立っていた。
「陽介も資料集め?」
「おう。俺最近図書館通い、皆勤賞。」
そう言いながら、陽介は私の隣りに立ち、アジア経済に関する小難しい本ばかりが並んだ棚に目をやっている。
こうして隣りに並ぶと、改めて彼の背の高さを実感させられる。
170cm近くある私でさえ見上げるほどだ。
「陽介身長何cmあるん?」
思わず聞いてしまった。
「ん?何や急に。185やけど?」
(そりゃ見上げるわけだ。)
と、心の中で呟きながらもう一度その横顔を見つめる。
視線に気付いた陽介が、笑顔で私を見下ろす。
「何?どした?」
「ううん。別に。」