ヒコーキ雲に乗って
試験期間に入ると、ゼミの授業は休みになったが、自然と水曜日の午後はみんなが５０１に集まり、試験情報を交換したり問題の予想をしたりして時間を過ごしていた。

おかげで絶対に落とすと思っていた単位も無事に取れた。


陽介は、教室に来てはみんなにキャンプで何がしたいかを聞いたり、買い出し係りや炊事係りなどを決めて、そこにいる全員を巻き込んで大盛り上がりしていた。


いつもの事だが、彼がやって来ると一気にその場の空気が変わる。


単純な言い回しかもしれないが、本当に太陽みたいな人だといつも思う。


きっと私だけじゃなく、みんながそう思っているだろう。


現に、夏海も少し前、私に漏らしていた。

「陽介ってほんまに名前通りの人やんな。」


本当にそう思う。

陽介の“陽”は太陽の“陽”だ。


そんな事を思いながら、陽介の横顔を見つめて、また少し高鳴った鼓動に気付かないフリをした。


こうして無事試験を終えた私達は、待ちに待った長い様であっとゆう間に過ぎてしまう夏休みへと突入した。
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表紙・目次

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