ヒコーキ雲に乗って
「肉最後の一枚やぞー!!!!」
肉焼き番長だと名乗り出て、ひたすら肉を焼く事に徹していた自他共に認めるオッサンキャラの武が叫んだ。
すると、みんな大して食べたくもないくせにノリで武の元にダッシュして行く。
さっきまでお腹いっぱいだと言って、地べたにへたり込んでいた亜子や、谷達も気付いた時には、走って行っていた。
なぜかいつもながらこういう時に乗り遅れてしまう私は、ひとり遠くから武の周りに群がるみんなの様子をカメラに収めた。
その時ふと、空を見上げた。
そこには雲ひとつない綺麗な青空に、まるで一本の真っ白なバージンロードが敷かれてあるかの様に、まっすぐに伸びたヒコーキ雲があった。
感動した私が夢中でカメラを向け、シャッターを切ろうとしたその時、ファインダー越しに大きな手が見えた。
カメラを外して見てみると、いつの間にか隣りに陽介が立っていた。
「な、何!?邪魔せんとってよ。」
あまりに不意打ちの事だったので、驚いて少し声が裏返ってしまった。
陽介は少し空を見上げた後、こちらを見下ろし、
「香澄は肉より写真に夢中やな。」
と優しく微笑みながら言った。
そう言った陽介の瞳が、今までに見た事もないくらい優しくてまるで愛しいものを見るかの様な瞳だったので、途端に恥ずかしくなって慌てて目をそらした。
「写真撮るの好きやねん。思い出はちゃんと形にして残しておきたい派やから。」
平静を装って言えたつもりだが、すぐ隣にいる陽介に聞こえてしまうんじゃないかと思うぐらい鼓動は高鳴ったまま止んでくれない。
肉焼き番長だと名乗り出て、ひたすら肉を焼く事に徹していた自他共に認めるオッサンキャラの武が叫んだ。
すると、みんな大して食べたくもないくせにノリで武の元にダッシュして行く。
さっきまでお腹いっぱいだと言って、地べたにへたり込んでいた亜子や、谷達も気付いた時には、走って行っていた。
なぜかいつもながらこういう時に乗り遅れてしまう私は、ひとり遠くから武の周りに群がるみんなの様子をカメラに収めた。
その時ふと、空を見上げた。
そこには雲ひとつない綺麗な青空に、まるで一本の真っ白なバージンロードが敷かれてあるかの様に、まっすぐに伸びたヒコーキ雲があった。
感動した私が夢中でカメラを向け、シャッターを切ろうとしたその時、ファインダー越しに大きな手が見えた。
カメラを外して見てみると、いつの間にか隣りに陽介が立っていた。
「な、何!?邪魔せんとってよ。」
あまりに不意打ちの事だったので、驚いて少し声が裏返ってしまった。
陽介は少し空を見上げた後、こちらを見下ろし、
「香澄は肉より写真に夢中やな。」
と優しく微笑みながら言った。
そう言った陽介の瞳が、今までに見た事もないくらい優しくてまるで愛しいものを見るかの様な瞳だったので、途端に恥ずかしくなって慌てて目をそらした。
「写真撮るの好きやねん。思い出はちゃんと形にして残しておきたい派やから。」
平静を装って言えたつもりだが、すぐ隣にいる陽介に聞こえてしまうんじゃないかと思うぐらい鼓動は高鳴ったまま止んでくれない。