ヒコーキ雲に乗って
⑤
長いと思っていた2ヶ月間の夏休みは、呆れるぐらいにあっとゆう間に終わってしまった。
久しぶりに足を踏み入れたキャンパスには、もう秋の気配が漂っている。
「あーあ。夏休みも終わってもたし、もうすぐしたら就職活動始めやなあかんねんなぁ。」
夏海が憂鬱そうに言う。
就職活動。
自分にはまだまだ無縁の出来事だと思っていたけど、よく考えてみたらもう大学3回生の秋にさしかかろうとしているのだから、そろそろ真剣に考え出さなければならない。
「何の仕事がしたいかなんてまだ全然わからんのになぁ。」
小悪魔亜子が呟く。
「そんなんみんな同じやろ。就活進めていく中で見つけていくしかないやん。」
おかん谷がチョコアイスを頬張りながら答える。
そんなみんなのやりとりを見ながら、小さい頃夢見がちだった私には、数え切れないぐらいの夢があった事を思い出していた。
お花屋さん、パン屋さん、絵描き、ピアニスト、…
子供なら誰でも一度は憧れる様な夢に対する思いは、年齢を重ねるごとに泡の様に消えていった。
-ただ一つの夢を除いて。
「なんかうちのゼミでも、男の子たちの中では動き出すん早い子は、夏休みからインターンシップとか言ってたらしいで。」
由希が手鏡をのぞきながら、言った。
「ほぇー。やっぱここのゼミの子らってすごい子多いよな。」
感心していても、呑気な声にしか聞こえないサチが言う。
陽介は就職どうするんだろう。
彼なら何でもなれる気がする。
あの天性の明るさと笑顔で、地球上のどこでだって色んな人に出会い、色んな人に助けられながら道を切り開いていくに違いない。
久しぶりに足を踏み入れたキャンパスには、もう秋の気配が漂っている。
「あーあ。夏休みも終わってもたし、もうすぐしたら就職活動始めやなあかんねんなぁ。」
夏海が憂鬱そうに言う。
就職活動。
自分にはまだまだ無縁の出来事だと思っていたけど、よく考えてみたらもう大学3回生の秋にさしかかろうとしているのだから、そろそろ真剣に考え出さなければならない。
「何の仕事がしたいかなんてまだ全然わからんのになぁ。」
小悪魔亜子が呟く。
「そんなんみんな同じやろ。就活進めていく中で見つけていくしかないやん。」
おかん谷がチョコアイスを頬張りながら答える。
そんなみんなのやりとりを見ながら、小さい頃夢見がちだった私には、数え切れないぐらいの夢があった事を思い出していた。
お花屋さん、パン屋さん、絵描き、ピアニスト、…
子供なら誰でも一度は憧れる様な夢に対する思いは、年齢を重ねるごとに泡の様に消えていった。
-ただ一つの夢を除いて。
「なんかうちのゼミでも、男の子たちの中では動き出すん早い子は、夏休みからインターンシップとか言ってたらしいで。」
由希が手鏡をのぞきながら、言った。
「ほぇー。やっぱここのゼミの子らってすごい子多いよな。」
感心していても、呑気な声にしか聞こえないサチが言う。
陽介は就職どうするんだろう。
彼なら何でもなれる気がする。
あの天性の明るさと笑顔で、地球上のどこでだって色んな人に出会い、色んな人に助けられながら道を切り開いていくに違いない。