ヒコーキ雲に乗って
⑥
四月になり、四回生になっても私の就職活動は難航を極めていた。
徐々に周りが内定を貰いだしているなかで、まだ一社も内定出来ていない自分があまりにも情けなく、無能に思える日々が続いていた。
息詰まった私は、大学の就職相談課に度々足を運ぶ様になっていた。
自分がこの先どうなりたいのか、どういう仕事をして、どういう大人になりたいのか。
そんなビジョンが全く持てないまま、面接に挑み、作られた台詞を吐き捨てる。
こんなんで受かるわけない事ぐらい、自分でも十分にわかっていた。
(焦っても仕方ない。)
そう言い聞かせようとすればするほど、自分が焦っている事に気付かされて、思わず深いため息が出る。
「シワ増えるぞー。」
低い、優しい、大好きな声が背後から聞こえた。
振り向かなくても、顔を見なくても、彼が今私を見て微笑んでいる事がわかる。
陽介はいつもそうだ。
表情と声がちゃんと呼吸をそろえている。
すべての機能が規則正しくリズムを打っている。
陽介はそういう人だ。
だから私も彼と向き合う時だけはきちんと呼吸を整えて、凛とした自分でいたいといつも思う。
でも、陽介の声が、表情が、視線が私の鼓動をどうしようもなく早く、熱くしてしまうから敵わない。
ゆっくり、呼吸を落ち着けながら振り向いてみると、そこには久々に見る大好きな人の笑顔があった。
徐々に周りが内定を貰いだしているなかで、まだ一社も内定出来ていない自分があまりにも情けなく、無能に思える日々が続いていた。
息詰まった私は、大学の就職相談課に度々足を運ぶ様になっていた。
自分がこの先どうなりたいのか、どういう仕事をして、どういう大人になりたいのか。
そんなビジョンが全く持てないまま、面接に挑み、作られた台詞を吐き捨てる。
こんなんで受かるわけない事ぐらい、自分でも十分にわかっていた。
(焦っても仕方ない。)
そう言い聞かせようとすればするほど、自分が焦っている事に気付かされて、思わず深いため息が出る。
「シワ増えるぞー。」
低い、優しい、大好きな声が背後から聞こえた。
振り向かなくても、顔を見なくても、彼が今私を見て微笑んでいる事がわかる。
陽介はいつもそうだ。
表情と声がちゃんと呼吸をそろえている。
すべての機能が規則正しくリズムを打っている。
陽介はそういう人だ。
だから私も彼と向き合う時だけはきちんと呼吸を整えて、凛とした自分でいたいといつも思う。
でも、陽介の声が、表情が、視線が私の鼓動をどうしようもなく早く、熱くしてしまうから敵わない。
ゆっくり、呼吸を落ち着けながら振り向いてみると、そこには久々に見る大好きな人の笑顔があった。