ヒコーキ雲に乗って
キャンパスから少し歩くと、大きな公園が見えて来た。
入口にそびえ立つ立派な大木には淡いピンク色の花びらが咲き乱れている。
「わぁ。きれーい!」
思わず声を上げてしまっていた事にハッと気付き、慌てて陽介の方を見る。
「もう桜の季節やねんな。1年てあっとゆう間やな。」
陽介はそう言いながら、空を仰ぎおもいっきり伸びをした。
「散ってまう前に、みんなでお花見したいね。」
私がそう言うと、陽介は子供みたいに嬉しそうな顔をして、「せやな。」と一言だけ言い放った。
桜の木からもう少しだけ奥へと進むと、大きな広場に出た。
そこに着いた瞬間、陽介は上着を脱ぎ捨てグレーの半袖シャツ一枚になると、グローブとボールを手に取り、
「よしゃ!やるか!」
と、大きな声で言った。
キャッチボールなんて、小さい頃お兄ちゃんの相手をさせられて以来だったので、上手に出来るか不安だったが、せっかくの陽介の優しさを棒に振るわけにはいかない。
真っ黒なリクルートスーツの上着を丁寧に脱いでたたみ、ベンチの上に置く。
そうして午後3時、キャッチボールが始まった。
入口にそびえ立つ立派な大木には淡いピンク色の花びらが咲き乱れている。
「わぁ。きれーい!」
思わず声を上げてしまっていた事にハッと気付き、慌てて陽介の方を見る。
「もう桜の季節やねんな。1年てあっとゆう間やな。」
陽介はそう言いながら、空を仰ぎおもいっきり伸びをした。
「散ってまう前に、みんなでお花見したいね。」
私がそう言うと、陽介は子供みたいに嬉しそうな顔をして、「せやな。」と一言だけ言い放った。
桜の木からもう少しだけ奥へと進むと、大きな広場に出た。
そこに着いた瞬間、陽介は上着を脱ぎ捨てグレーの半袖シャツ一枚になると、グローブとボールを手に取り、
「よしゃ!やるか!」
と、大きな声で言った。
キャッチボールなんて、小さい頃お兄ちゃんの相手をさせられて以来だったので、上手に出来るか不安だったが、せっかくの陽介の優しさを棒に振るわけにはいかない。
真っ黒なリクルートスーツの上着を丁寧に脱いでたたみ、ベンチの上に置く。
そうして午後3時、キャッチボールが始まった。