ヒコーキ雲に乗って
⑦
陽介とキャッチボールをした二週間後、最終選考まで進んでいた企業に内定を貰えた。
自分の中では、割と志望度の高かったアパレルメーカーだったので、ここでめでたく就職活動に終止符を打つ事に決めた。
その後も、周りで続々と就職活動を終える仲間達が続出し、6月に突入する頃にはゼミ生のほぼ全員がどこかしらに内定を貰えている状態だった。
就職活動が終わったとなれば、また自然とみんなが501の教室に集まり出す様になり、そこにはちゃんと陽介の姿もある。
その光景は、去年の今頃と何も変わっておらず、この空間にいれる事を改めて幸せだと思う。
ただ、日に日に大きく膨らんで行く陽介への恋心を自分でもどうすればいいのかわからなかった。
夏海に相談しようかとも考えたけど、これから卒業までの間、またみんなでいっぱい遊んだり、集まったりする中で彼女に余計な気を遣わせてしまうのではないかと思って、話せずにいた。
そうやって余計な気を遣うこの性格がいつも災いしてきた事を、どうして忘れてしまっていたんだろう。
今回も、例外なくそうなった。
「なぁ、香澄。相談があるねん。」
大学のカフェテリアで、オレンジジュースを見つめながら話す夏海の瞳は、いつになく真剣だった。
嫌な予感がした。
「あたし、陽介の事好きになってしまったみたい。」
自分の中では、割と志望度の高かったアパレルメーカーだったので、ここでめでたく就職活動に終止符を打つ事に決めた。
その後も、周りで続々と就職活動を終える仲間達が続出し、6月に突入する頃にはゼミ生のほぼ全員がどこかしらに内定を貰えている状態だった。
就職活動が終わったとなれば、また自然とみんなが501の教室に集まり出す様になり、そこにはちゃんと陽介の姿もある。
その光景は、去年の今頃と何も変わっておらず、この空間にいれる事を改めて幸せだと思う。
ただ、日に日に大きく膨らんで行く陽介への恋心を自分でもどうすればいいのかわからなかった。
夏海に相談しようかとも考えたけど、これから卒業までの間、またみんなでいっぱい遊んだり、集まったりする中で彼女に余計な気を遣わせてしまうのではないかと思って、話せずにいた。
そうやって余計な気を遣うこの性格がいつも災いしてきた事を、どうして忘れてしまっていたんだろう。
今回も、例外なくそうなった。
「なぁ、香澄。相談があるねん。」
大学のカフェテリアで、オレンジジュースを見つめながら話す夏海の瞳は、いつになく真剣だった。
嫌な予感がした。
「あたし、陽介の事好きになってしまったみたい。」