ヒコーキ雲に乗って
年齢は27歳。

化粧品メーカーで企画の仕事をしているバリバリのキャリアウーマン。

陽介がアルバイトをしているバーの常連で、最初はお客と一店員でしかなかったが、次第にお互い男女として意識する様になっていた。

彼女の休みが不定休なので、デートは彼女の休みに合わせてしている。



夏海が話してくれた情報が、頭の中で箇条書きにされていく。

たったこれだけの情報でも、陽介の彼女がどんな人なのか勝手に作り上げれてしまう自分の想像力に嫌気がさす。


私の頭の中で、陽介の広い肩に想像上の彼女が頭をうずめる。

陽介の笑顔が想像上の彼女に向けられる。

陽介の大きな手が想像上の彼女の髪をすく。


自分の想像で、心臓に激痛が走った。

そっと目の前に座る親友に目をやると、話をする彼女の瞳は真っ赤だった。


「夏海、ごめんな。こんな事話させて。」

「ううん!あたしこそごめんな。なんか暗くなっちゃって。」

夏海も今、私と同じ様な胸の痛みに苦しみ、どうしようもない自分の欲望に困惑しているのだ。


ジリリリリリリ…


その時、午後の講義開始を告げるチャイムが広いキャンパス内に響き渡った。

「もうこんな時間なんやね。教室行こっか。香澄、話聞いてくれてありがとう。
ちょっとだけ楽になった。」

そう言って微笑み席を立った夏海について行くように、その場を後にした。










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