三毛猫レクイエム。
「いつでも、連絡してくれればいいよ。今度はタキからの召集じゃなくて、真子さんからの召集だな」
「召集じゃないよ!」
向きになって言い返した私に、ヒロはくすくすと笑って、そっと私の頭をなでた。
「っ!」
「じゃあ、またね」
私に背を向けたヒロは、後ろ手を振ってその場を去っていった。
その場に立ち尽くした私は、そっとヒロが触れていった頭に触れた。
「……あき……」
当たり前だけど、いつも私の頭をなでてくれていた手とは、触れ方も、なで方も、感触も、違っていた。
それなのに、ヒロが私に触れた瞬間、あきを思い出した。
私の中でヒロの笑顔が、今でも鮮明で色あせることのないあきの笑顔と重なっていた。