三毛猫レクイエム。
「違うと思う」
「でも……」
「お母さん!!! お兄ちゃんがすっごい可愛い彼女連れてきた!!!」
私の不安の言葉をさえぎるように、明菜ちゃんの大声が家に響き渡った。私が唖然としていると、あきがつんつんと私をつついて、
「玄関じゃあれだから、中入らね?」
「え、あ、うん」
私はあきに続いて、リビングに入った。中では明菜ちゃんと、あきそっくりの女の人が話をしていた。
「母さん、ただいま」
二人の視線が、私を捉える。
「明良、そちらは?」
「姫木真子。俺の彼女」
「は、初めまして」
慌ててあきのお母さんに頭を下げた。
「真子ちゃん? 本当に可愛いわね」
「でしょ! 鈍感なくせに、お兄ちゃんよく捕まえられたね!」
「こら、明菜、うっさい」
明菜ちゃんは私を見て、にっこり笑った。
「滝沢明菜です! 14歳です! よろしくね、真子お姉ちゃん!」
「滝沢あかりよ。よろしくね、真子ちゃん」
「よ、よろしくお願いします」
声が震えている私に、おばさんがうふふと笑って、
「真子ちゃん、そんなに緊張しないで」
「そうだよ、お兄ちゃんが彼女連れてくるのなんて初めてだし、私嬉しいな!」
明菜ちゃんの言葉に、私は驚いた。