三毛猫レクイエム。
「お邪魔しました」
「また、遊びに来てね、真子ちゃん」
「またね! 真子姉!」
まるで、本当の家族のように迎え入れてくれるおばさんと明菜ちゃんの笑顔が、今はなぜか、辛かった。
息子を亡くした母は、どんな気持ちだっただろう。大好きだった兄を亡くした妹は、どんな気持ちだっただろう。
二人だけじゃない、明仁さんやおじさんだって、いったいどんな気持ちであきの死を受け入れたんだろう。
もしかすると、まだ受け入れられていないかもしれない。
それでも、前を向いている明菜ちゃん達。前に進もうとしている明菜ちゃん達。
「あき……私、どうすればいい……?」
空を見上げて、そっと呟いた言葉に、応える声はない。
「あき、お願いだから、全部嘘だったって……言ってよ」
一年がかりの悪戯だったと、笑って欲しい。
今までの私の涙を、笑い飛ばして欲しい。
私は怒らないから。
だから、お願いだから、
「あきに、会いたいよ……」
枯れることのない涙の止め方を、教えて。
泣きながら歩いている私を、すれ違う人が訝しげに見ている。
それでも、私は泣くのをやめられなかった。
心が、一向に叫ぶのを、やめてはくれなかった。